カステラとお茶
銀座文明堂 特撰五三カステラ / norio.nakayama

卵、小麦粉、砂糖といったシンプルな材料をふっくらと焼き上げて作るカステラは、改まった贈答品として高い人気を誇っています。

名前のとおった老舗で買い求めると、桐箱に入ったものが手に入ります。

こうしたものは、見た感じも豪華でいかにも無難。母の日のお義母さん向けや、敬老でお年を召した方に贈ってもまず間違いのない無難さがあります。

でも、「無難」って、「危ない点がない」という意味もありますけど、「これといって特色はないが、非難すべき点もない」「平凡無事」「当たり障りがない」なんて後ろ向きな意味も含んでいるんですよね。

果たしてカステラは、「これといって特色はないが、非難すべき点もない」贈答品なのでしょうか?

カステラの歴史を振り返ってみよう

出島
Small-scale version of the Island of Dejima / tiseb

カステラというと長崎が有名ですが、日本に登場したのはけっこう古く、室町末期に渡来人によってもたらされました。

材料となる鶏卵や砂糖は、当時はとても貴重なもので、秀吉や家康といった時の権力者にも献上されていたようです。

さて、こうして古くから伝わるカステラですが、分類するとなれば洋菓子になるんでしょうか? はたまた和菓子でしょうか? 海外から入ってきたのだから、洋菓子のような気もするし…。

いえいえ、全国和菓子協会によると、立派な和菓子に分類されているのです。

そんなふうに聞くと、ちょっと意外に思う人もいらっしゃるかもしれませんね。羊羹や饅頭も元は中国から入って来たものですから、和菓子の成り立ちがそうしたものなのかもしれません。

ともあれ、和菓子の世界ではカステラは生菓子に分類されていて、「オーブン物」と呼ばれる焼き物の一種と位置付けられています。同じ仲間に、栗饅頭や桃山が並びます。

独自の進化を遂げたカステイラ

カステラの底のザラメ
castella / ma_shimaro

でも、渡来してきた当時は現在のものとは違い、食感はあまりしっとりしたものではなかったと推測されています。なぜかというと、ザラメや水飴が使われていなかったから。

この2つの素材が使われたのは実は画期的なことで、和菓子文化の影響を色濃く受けているのです。

糖には水分を留める働きがあるのですが、和菓子ではしっとりとした口当たりを生み出すために使われてきました。

長崎カステラの底にはザラメがついていますよね。これも水分を留める糖の力を使って生地をしっとりさせるためで、飽和して結晶化するほどたっぷりと配合されたものなのです。

そして、水分を逃さないように水飴を使うことで、さらにしっとりとした食感が生まれます。

最近では健康志向の影響で、こうした従来の製造とは真逆の、甘さを極限まで抑えているのにしっとり感を損なわないカステラも登場していますが、これも和菓子職人ならではの技によるものです。

伝統的なカステラも、健康志向に即した新しいタイプのカステラも、どちらも共通しているのは油脂が入っていないということ。その分、スポンジ生地と違ってすっきりした口当たりをしています。

まさにお年を召した方にも無難で、おすすめの贈り物といえます。

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